私が10年程前にクラウドを調査始めたころ、AWS(アマゾン)、グーグル、IBMが実用サービスを始めていた。マイクロソフトはWindows Server2008をベースにやっとAzureを開発し試使用を始めたばかりであった。当時オラクルのCEOだったラリーエリソンは「クラウドなんて普及しない」といって頑なにクラウドへの進出を拒んでいたが、数年後自分の判断の誤りを認め遅れてクラウドへ参入した。
当時はクラウドに対する見方は分かれていた。自分のデータセンターに抱えているサーバー群をクラウドに移行することはセキュリティ上危険だといってクラウドに対する懐疑的な見方も多かった。クラウドに対して肯定的の人達も、高いセキュリティを要する基幹システムはオンプレミス(自分のサーバー)で情報系システムだけをクラウドにという考え方が殆どであった。
HPやDellはオープンシステム(OpenStack)を使ってクラウドの開発を進めたが最終的にはクラウドへの参入を断念した。日本の主要ITベンダーも同様であった。当時クラウドの将来市場への判断を誤ったのか、大きなリスクを恐れてしまったのかどうかは分からない。
個人的には当時クラウドに本格的に参入できなかった日本のITベンダの判断が今の日本の衰退の一因になってしまったとも思っている。