<解説:幼児回帰するアメリカが産み落としたトランプ現象
◇アメリカと世界を救うには>
浜矩子・同志社大学名誉教授の論考を要約
ー目次ー
はじめに
論考の要点
1. トランプの「正体」=“偽預言者”
2. 「アメリカ落日物語」の最終章
3. 新しい世界秩序の可能性=「ジジ抜きワールド」
【2025年7月時点の情勢】
【今後の見通し】
Q1. 世界恐慌への引き金となるか?
Q2. 世界大戦への引き金となるか?
【日本への影響】
【まとめ】
はじめに
浜矩子・同志社大学名誉教授の論考「幼児回帰するアメリカが産み落としたトランプ現象」(2025年4月24日)は、トランプ政権の政治的本質と経済政策の帰結、さらにそれが米国と世界に及ぼす深刻な影響を鋭く分析しています。この視点をもとに、2025年7月現在の状況を踏まえて今後の世界をどう見通すべきかを以下に整理・解説します。
🧭論考の要点
1. トランプの「正体」=“偽預言者”
- 敵と悪者を設定し(バイデン、不法移民、外国)、人々に耳障りの良いことを語る。
- 自身の利益のために民意を操作する典型的ポピュリズム。
2. 「アメリカ落日物語」の最終章
- アメリカは1945~1971年にかけて「スーパーヒーロー」だったが、ニクソン・ショック以降、地位は後退。
- トランプ政権による「輸入関税主義」は、まるで19世紀末の“ヨチヨチ歩き”時代のアメリカへの退行(幼児回帰)であり、覇権の終焉を象徴している。
3. 新しい世界秩序の可能性=「ジジ抜きワールド」
- 「トランプ爺」を“ジジ”とし、彼を外した形で国際協調を進める「ポスト米国」秩序を構想。
- ただし、習近平など“別のジジ”が突出するリスクも指摘。
🌍【2025年7月時点の情勢】
■ トランプ関税政策の行き詰まり(“TACO”の圧力)
-
TACO(Trump’s American Customs Overhaul):トランプ政権が進める「全品目関税・相互主義関税」政策。
- 同盟国・新興国ともに対抗関税を導入し、貿易摩擦が激化。
-
WTO無力化、G7も機能麻痺。グローバル・サプライチェーンは混乱。
🔮【今後の見通し】
■ Q1. 世界恐慌への引き金となるか?
✅ 可能性:高い
- 現状、1930年代の「スムート・ホーリー関税法」に似た状況。あの時も関税の連鎖が世界大恐慌を招いた。
- 現代では、サプライチェーンが複雑化しており、一国の関税強化がグローバル需要全体の縮小に直結。
- トランプ政権の「ドル防衛主義+高金利容認」は、世界的なスタグフレーションと新興国通貨危機の引き金に。
■ Q2. 世界大戦への引き金となるか?
✅ 可能性:中程度だが無視できない
- トランプ政権の「米国ファースト」外交は、NATO・日米同盟などの安全保障体制を弱体化させている。
- 中国が台湾や南シナ海、ロシアが東欧・中東で覇権拡大を試みる場合、米国の空白が紛争を誘発。
- 経済ブロック化→軍事ブロック化という「ブレトンウッズ前夜」の再来も想定されうる。
🎌
【日本への影響】
- 輸出依存型経済にとっては致命的。特に自動車・電子・工作機械の3分野が打撃。
- ドル高・円安は物価高と消費低迷をもたらし、スタグフレーションへ。
- 米国からの軍事的信頼低下→自主防衛・再軍備圧力が増す。
- 一方で、中国への過度な接近は政治的リスクが高いため、アジア・欧州との多角連携(“ジジ抜き外交”)が重要になる
🧾 【まとめ】
浜教授の警告は、「幼児化する超大国」がもたらす国際秩序の崩壊と、それへの対処の道を示しています。
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✅ トランプ政権は経済・外交の「逆走」と「過剰防衛主義」により、世界を恐慌と戦争の縁に立たせている。
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✅ ただし、他国が協調し「ポスト米国」の多国間秩序(ジジ抜き)を再構築すれば、一縷の希望はある。
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✅ 日本もその一角として、主体的な対米・対中・対欧戦略を持たねば沈没は避けられない。
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