<解説:地方創生とは

 

ー目次ー

◆ 地方創生の「狙い」

◆ 「地方創生1.0」(2014年~)

◆ 「地方創生2.0」(2025年〜 石破政権)

◆ 総括

 

◆ 地方創生の「狙い」

 

【背景】

 2010年代以降、日本では以下のような問題が深刻化していました:

  • 地方の人口減少・高齢化の加速
  • 若者の都市部(特に東京圏)への流出
  • 地方経済の縮小と自治体の存続危機
  • 医療・交通など社会インフラの維持困難

 これに対して、中央政府主導で「地方を再生させる」必要があるという問題意識から登場したのが「地方創生」です。

【地方創生の目的】
  1. 地方に「人」と「仕事」を呼び込む
  2. 地方の暮らしを豊かにし、移住・定住を促進
  3. 東京一極集中を是正し、国全体のバランスの取れた発展を実現
「地方創生1.0」(2014年~)

 石破茂氏が初代の「地方創生担当大臣」に就任(第2次安倍政権)し、旗を振った最初の取り組み。

 

【主な特徴】

 

要素

内容

中心課題

人口減少の抑制・逆転

具体策

子育て支援、移住支援、企業誘致、地方大学活性化、地方版総合戦略

推進方法

 国がKPI(数値目標)を示し、各自治体が地域ごとに施策を立案

重点目標

「地方に仕事を作る」「若者の定着」「結婚・出産支援」など

結果

一部では成果が見られたが、全体としては東京一極集中が進行、効果限定的

 

「地方創生2.0」(2025年〜 石破政権)

  「1.0」の限界を踏まえ、2025年に発表された第2フェーズ。基本的には現実を直視し、方向転換をはかる動き。

 

【主な違い・進化点】

 

項目

1.0

2.0

人口に対する姿勢

「減らないようにする」

「減っても地域が機能するように」

主眼

移住促進と出生率向上

関係人口・地域経済の持続性

対象

主に定住者・若者

関係人口(非定住者)・多拠点生活者

アプローチ

各自治体が施策をつくり、国が支援

  国が一定の方向性を示し、仕組み(登録制度など)を用意

目玉施策

地方版総合戦略、移住支援

ふるさと住民登録制度、二地域居住、政府機関の地方移転

評価

理念先行で効果乏しい

**より現実的だが、政策は「小粒」**との批判も

 

 

総括
  • 地方創生1.0は「理想論」で、人口減少を逆転させようとしたが失敗。
  • 地方創生2.0は「現実路線」に転換し、人口が減っても社会を維持するための施策に軸足を移した。
  • ただし、構造改革(自治体の統合・制度改革・労働政策)には踏み込んでおらず、限界も大きい。

 

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