<解説:生成AI最前線>

 2025/07/29

 

ー目次ー

・生成AIの最前線と社会的インパクト

・GPT-4以降の大規模言語モデル動向

 ・代表的な生成AIの適用事例(国内事例)

 

生成AIの最前線と社会的インパクト

 

 2020年代に入り、**生成AI(ジェネレーティブAI**は急速に進化し、社会や産業、科学研究に大きな変革をもたらしています。テキスト生成のGPTシリーズ、画像・映像生成のDALL·ESora、コード支援のCopilot、構造予測のAlphaFoldなど、その応用範囲は拡大を続けています。

 

●ノーベル賞受賞:

 特に注目されたのは、2024年のノーベル賞でAI関連技術が初めて顕彰されたことです。

  • ノーベル物理学賞では、ディープラーニングの基盤技術「逆伝播アルゴリズム(バックプロパゲーション)」を確立したジェフリー・ヒントン氏が表彰されました。彼の貢献は、現代のAIブームの礎となっています。
  • ノーベル化学賞では、ディープマインドのAlphaFoldが、タンパク質構造予測の分野で革新をもたらしたことが評価されました。これはAIが生命科学の根幹を解明するツールとして活躍する時代の到来を象徴しています。

応用の本格化:

 また、2025年には、生成AIと人間の共創による研究論文や映画制作、教育、司法支援といった新たな応用も本格化しており、「AIを使いこなす力=リテラシー」が今後ますます重要となるでしょう。

 

 私たちは、単なる技術進化としてではなく、「生成AIが社会とどのように関わるべきか」を考える転換点に立っています。

 

GPT-4以降の大規模言語モデル動向

 

世界の動き:

 2023年に登場したGPT-4は、言語理解と生成能力の質を一気に引き上げ、教育・医療・法律・研究開発など幅広い分野で実用化が進みました。

 その後継となるGPT-4.5**GPT-4o(オムニモデル)**では、テキストに加えて画像・音声・動画を統合的に扱う「マルチモーダルAI」へと進化。さらに2025年現在、推論力・対話持続性・リアルタイム性の強化が急速に進んでいます。

 

 一方、オープンソース勢も躍進しています。MetaLlama 3MistralAnthropicClaudeシリーズ、GoogleGeminiなどが相次いで登場し、企業・研究機関・自治体による**ローカル運用(オンプレ)やファインチューニング(特化型学習)**が現実のものとなりつつあります。

 

国内の動き:

 日本国内では、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)や東大・理研が中心となる国産LLMの開発が進められ、医療や行政、日本語法に特化したAI基盤構築を目指しています。

 

 今後は、「モデルの巨大化」よりも効率性・軽量化・安全性の向上が重要視されるフェーズに入ります。AIは道具から**“知的なパートナー”**へ。どこまで任せ、どこを人が制御すべきか——技術と倫理の両面で、成熟期を迎えつつあるのが現在のLLM動向です。

 

代表的な生成AIの適用事例(国内事例)

 

 生成AIは今や、特定の研究者や技術者の手を離れ、ビジネス・教育・行政・創作活動など、私たちの生活全体に広がっています。以下に代表的な応用領域と国内事例を紹介します。

 

業務効率化・自動化

  • カスタマーサポート:AIチャットボットが問い合わせ対応を自動化し、顧客満足度と業務効率を同時に向上。

 👉 国内例:みずほ銀行が社内ヘルプデスク業務に生成AIを導入、回答時間を短縮。

  • 議事録作成:会議音声からAIが自動で要約・整理し、報告資料として活用。

 👉 国内例:日立製作所が全社的にAI議事録生成を導入、年間数千時間の作業を削減。

 

マーケティング・コンテンツ制作

  • 広告コピー・商品説明文の生成:パターン別にAIが大量生成、効果検証も可能。

 👉 国内例:サイバーエージェントが広告文や動画スクリプトの初稿を生成AIで作成。

  • SNS投稿・POP制作:販促メッセージやイベント案内を迅速に作成。

 👉 国内例:ローソンがキャンペーン告知文を生成AIで試作し、担当者が選定。

 

教育・学習支援

  • 個別指導・ドリル生成:生徒ごとの学習履歴に基づき、個別最適化された課題を提示。

 👉 国内例:ベネッセが「進研ゼミ」AI学習支援に生成AIを導入。

  • 教員の教材作成支援:授業資料や例題をAIが提案、教員の負担を軽減。

 👉 国内例:静岡県教育委員会が、教師向けの教材準備にChatGPTを試験導入。

 

ソフトウェア開発・製造業支援

  • プログラミング補助:開発者の入力に応じてコード提案、バグ指摘まで支援。

 👉 国内例:富士通がGitHub Copilotを社内開発現場に導入し、生産性向上を確認。

  • 製品設計支援(初期案生成):家電や自動車部品のデザイン案を複数提案。

 👉 国内例:パナソニックが家電プロトタイプ設計にAIを活用。

 

創作活動・メディア制作

  • 画像・映像・音声の生成:広告ビジュアル、マンガ、ナレーション、ストーリーボードなど。

 👉 国内例:博報堂DYグループが広告の初期構想に生成AI画像を活用。

  • AI脚本と俳優の共演:AIが脚本の原案を作成し、映像制作が高速化。

 👉 国内例:NHKAI生成ナレーションを一部番組で試験採用。

 

法務・行政

  • 契約書作成・チェック支援:テンプレートと要件をもとにAIがドラフト作成。

 👉 国内例:弁護士ドットコムがAI契約書支援ツール「CloudSign AI」を提供開始。

  • 行政文書作成・住民対応:窓口対応や通知文作成の効率化。

 👉 国内例:横浜市が生成AIを一部業務に導入し、住民案内の自動化を試行中。

 

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