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【解説:米問題】:なぜ「米価格異常」に誰も説明責任を果たせないのか?

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目次:

・はじめに

・現状:なぜ「米価格異常」に誰も説明責任を果たせないのか?

・農水省の説明責任放棄に近い状態

・根本的な問題:政策の「空洞化」

・改革に必要な視点

・結論

 

はじめに

 

2024年から2025年にかけての米価格の異常高騰とその説明の不在は、農水省を含む米行政に対する根本的な疑問を呼び起こしています。特に、

  • 「新米が出回れば価格は下がる」
  • 「備蓄米を放出すれば価格は落ち着く」

といった農水省幹部の予測が何度も外れていることは、政府による需給分析と対応の信頼性に重大な疑念を生じさせています。

現状:なぜ「米価格異常」に誰も責任を果たせないのか

 

1. 需給の実態が不透明すぎる

  • 民間在庫(卸・ブローカー・JA・商社)がどれほどの米を保有しているかの正確な統計がない。
  • 特に、政府統計は前年の実績ベースで遅れがちで、リアルタイムの動きに即応できない。
  • 価格を決めているのは「先渡し相場」など心理的な期待・思惑であり、農水省が数値で掌握できていない。

2. 行政と市場の距離が開きすぎた

  • かつては「減反(生産調整)」などにより行政が直接米需給をコントロールしていましたが、2018年の「米政策改革」によって市場任せの自由化が進行。
  • 農水省は「市場に任せる」としながらも、「価格が異常だ」と言い出す矛盾した立場に。

3. 農水省の「口先介入」が空回り

  • 備蓄米の放出や緊急輸入示唆など、口先介入で市場を動かそうとしていますが、現実の供給量を大きく増やすには至っていない。
  • 特に業界内では、「政府が本気で介入する気があるのか?」という疑念も強く、信認の低下が価格形成に悪影響を与えています。
農水省の「説明責任放棄」に近い状況

 

現時点で農水省は:

  • 価格異常の理由を明言していない
  • 「市場の動向を注視する」との紋切り型の表現にとどまっている
  • 本格的な需給モデルや価格メカニズムの公表を行っていない

これでは「市場に任せて責任逃れをしている」との印象を与えるのは当然であり、まともな米行政とは言い難い状況です。

 

根本的な問題:政策の「空洞化」
  • 2018年の米政策改革以降、農水省は「市場任せの需給調整」に方針転換しましたが、市場を健全に機能させるルール整備(透明な在庫管理、価格モニタリング制度など)が不十分です。
  • 結果として、農水省は価格上昇にも下落にも有効な手段を持たず、政策が形骸化しています。
改革に必要な視点
  1. リアルタイム在庫の開示と流通トレーサビリティの義務化

 → 誰が、どれだけ米を抱えているかを可視化することで投機を抑制。

  1. 「市場任せ」と「責任ある介入」の線引きの明確化

 → 放置するなら徹底的に放置すべき。中途半端な“口先だけ”では混乱を招くだけ。

  1. 農水省トップの説明責任と戦略性

 →「現状こうで、こうするからこうなる」という透明な説明とロードマップの提示。

結論

 

今の米行政は、自由化政策を取りながら責任を取らず、分析も不十分。その結果として、米価格の異常に対して説明責任すら果たせない不健全な状態に陥っています。

米は国民の主食であり、社会的安定の柱です。今こそ、農水省は「需給の見える化」と「責任ある政策運営」に舵を切らなければなりません。

 

 

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