<解説:CASE・モビリティ最新動向

 

 ー目次ー

・2025年版 CASEモビリティの現状と未来

・完全自動運転の現状と課題
・中国勢の台頭とその衝撃
・今後5年(20252030年)の予測
・CASE 4要素の現状まとめ(2025年)
:総括:CASEの中で日本のとるべき方向は?
:結論:CASE未来ではなく、すでに現在

 2025EV市場の現在地

1. グローバル市場の概況

2. 中国:EVの覇者

3. テスラ:成長の踊り場

4. 日本:HEV依存とEV出遅れ

5. バッテリーとサプライチェーンの支配構造

6. EV市場シェア(国別・2025年)

7. HEVEVの違い・関係性

8. EVは停滞?それとも拡大?

9. 今後の展望(2030年)

🚗 2025年版 CASEモビリティの現状と未来

〜完全自動運転からEV、中国の台頭、日本の活路はどこに〜

序文

 

 21世紀に入り、私たちの移動を支える「車」は、かつてないほどの変革期を迎えています。単なる移動手段から、情報とつながり、自律的に動き、環境に配慮し、共有されるサービスへと進化する「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング&サービス、電動化)」という概念は、自動車産業のみならず、都市計画、エネルギー、そして私たちのライフスタイルそのものに大きな影響を与えようとしています。

 

 特に2025年半ばを迎えた現在、かつて「夢」や「未来」として語られてきたCASEの各要素は、特定の地域や分野で着実に「現実」のものとなり始めています。米国や中国の一部都市ではレベル4の自動運転タクシーが運行され、世界の自動車市場ではEVが急速に存在感を増しています。しかし、その一方で、技術的課題、社会受容の壁、そして各国のアプローチや戦略の違いによって、その進展には濃淡が見られます。

 

 本稿では、2025年現在のCASEモビリティの最新動向を多角的に分析します。完全自動運転の現状と課題、EV市場の現在地、そして目覚ましい勢いで台頭する中国勢の衝撃に焦点を当て、日本がこの激変するモビリティ社会でどのような活路を見出すべきかを探ります。未来はすでに始まっています。この「本格化元年」において、業界の地図が塗り替えられる次の5年間を見据えるための羅針盤として、本解説が皆様の一助となれば幸いです。

CASEとは?

  自動車業界の変革を示す4つの頭文字:

C:

Connected(つながる車)

A;

Autonomous(自動運転)

S:   

Shared & Services(シェアリング)

E:

Electric(電動化)   

 

1A:完全自動運転の現状と課題

 

2025年現在の到達点

  • **レベル4(特定条件下の完全自動運転)**が、米国・中国の一部都市で実用化段階
    • Waymo(米):フェニックス・サンフランシスコでロボタクシー運行
    • Baidu(中):「Apollo Go」サービスが100万回以上の乗車実績
    • CruiseGM):サンフランシスコで運用も事故で一時停止(2023年)

🚧 普及が遅れる理由

  • 技術的制約(都市環境、天候、歩行者対応)
  • 社会受容(責任問題、法整備の遅れ)
  • コストの高さ(LiDARなど高額センサー)

2EEV化と自動運転の融合が加速中

  • 自動運転はEVとセットで進展(CASEAEが融合)
  • 2025年現在、中国・米国が先行
    • 中国は「EVAI+自動運転」で業界標準を目指す
    • 日本・欧州は出遅れ感強く、EV販売比率も低調

3C:つながる車の標準化進行中

  • OTAOver-The-Air)によるソフト更新が標準化
  • 自動運転や運転支援もクラウド連携が前提に
  • 日本車もトヨタ、ホンダを中心にコネクテッド対応を強化

4S:シェアリングとMaaSの再評価

  • シェアカー市場は一時停滞したが、**MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)**として再注目
  • 自動運転タクシーやロボ配送との連携が進行中
  • 日本では地方公共交通との連携が進む可能性あり

📈 中国勢の台頭とその衝撃

 

企業

主な動き

BYD

欧州進出・EVADASを拡充、日本市場にも関心

Xpeng

高速道路自動運転(ナビ機能付きEV)量産

Baidu × Geely

自動運転専用ブランド「Jidu」を設立

Huawei

自動運転ソフト・センシングで攻勢

 

🔧 特徴:ハードとソフトの垂直統合+国家支援+大量走行データによるAI強化


🔮 今後5年(20252030年)の予測

 

時期

主な動き

202527

レベル3車が日欧で普及、都市部でのレベル4実証が進行/中国勢が日本にも本格進出

202830

レベル4ロボタクシーの本格運用/ロボ配送・自動走行車が普及/日本はMaaSや物流ロボで活路探る

 

🧩 CASE 4要素の現状まとめ(2025年)

 

項目

現状

主導国・地域

C:コネクテッド

 OTA、車載OSの進化

米中、日本も追随

A:自動運転

レベル3普及中、レベル4実証

 米中が主導

S:シェアリング

 MaaSと連携で再評価

都市部中心に展開

E:電動化

世界で普及加速、日本は遅れ

 中国・欧州が主導

 


🧭 総括:CASEの中で日本のとるべき方向は?

 

日本の弱点:

  • EV化と自動運転で出遅れ
  • ハード偏重でソフトウェア開発が弱い

日本の活路:

  • MaaS・物流ロボ・コネクテッドサービスに注力
  • 高齢化社会向けの移動支援・地域交通に展開
  • 自動運転技術をインフラと組み合わせて実装

結論:CASE未来ではなく、すでに現在

  • 自動運転とEVの融合が、都市からじわじわと現実に
  • 中国企業がCASE全体で世界標準に近づく中、日本は差別化戦略が必要
  • 2025年はCASE競争の「本格化元年」、次の5年が業界地図を塗り替える

 

🚗2025EV市場の現在地

中国が突き進み、テスラが試練、日本は立ち遅れ


📊 1. グローバル市場の概況

  • 2024年のEV世界販売台数:約1,730万台(前年比+25%)
  • 2025年予測:2,000万台を突破見込み(+20%成長)
  • 中国が圧倒的主力:世界販売の63%、製造の70%以上

➡︎ 市場は拡大中だが成長ペースは鈍化傾向。**“爆発期から成熟への移行期”**へ。


🇨🇳 2. 中国:EVの覇者

  • BYD6月販売37.8万台(+11%)、世界シェア首位を維持
  • Xiaomi:新型「SU7」「YU7」がヒット。YU7は予約初日で29万件突破
  • 強み:低価格+高性能ソフト+バッテリー自給体制

➡︎ EV競争で中国勢が価格・技術・供給の3点で世界を圧倒。


🇺🇸 3. テスラ:成長の踊り場

  • Q2納車数:約38.4万台(前年比▲13.5%)
  • 中国工場(上海):6月販売前年比+0.8%と微増
  • 課題:需要鈍化、政治リスク、競争激化による世界的シェア低下

➡︎ テスラは次の一手(廉価モデル・ロボタクシー)が急務。


🇯🇵 4. 日本:HEV依存とEV出遅れ

  • EVの国内販売比率:2.3%(PHEV含めても3%弱)
  • HEV(ハイブリッド車)比率:約40
  • 主な動き:
    • 日産リーフなどが限定展開
    • ホンダは中国専用EVブランド「Ye」立ち上げ
    • ソニー×ホンダの「AFEELA」は2026年北米投入予定

➡︎ EV戦略商品に留まり、国内普及は進まず。HEV偏重からの脱却が課題。


🔋 5. バッテリーとサプライチェーンの支配構造

  • **中国(CATLBYDなど)が世界バッテリーシェア67**を占有
  • 日本・韓国勢はシェア縮小中
  • 中国製バッテリーは価格・性能・量産力で優位

➡︎ 「バッテリーを制する者がEVを制す」を地で行く中国。


🌍 6. EV市場シェア(国別・2025年)

 

地域・国

EV販売比率

特徴

世界全体

2022

成長続くが鈍化傾向

中国

40%超

政策と製造体制の勝利

欧州

25%前後

ノルウェーは80%超、政策依存型

米国

10

テスラ主導、地域差あり

日本

2.3

HEV中心でEVは限定的

 


🔄 7. HEVEVの違い・関係性

 

項目

HEV(ハイブリッド)

EV(電気自動車)

動力源

ガソリン+電気

電気のみ(BEVor 電気+ガソリン(PHEV

充電

不要(自己充電)

外部充電が必要

走行距離

長い(ガソリン併用)

BEVは短め、PHEVは長め

利用心理

節約志向・安心感

環境・先進志向

インフラ依存

低い

高い(充電網必要)

 

➡︎ HEVは「EVへの移行ステップ」とされるが、日本は移行が停滞中。


📉 8. EVは停滞?それとも拡大?

  • 成長は継続中だが、202425年は調整局面
  • 要因:
    • EV価格の高止まり
    • 航続距離・充電インフラへの不安
    • 欧米補助金の縮小
    • 中国勢との価格競争で西側メーカーが苦戦

➡︎ “バブル崩壊ではなく、踊り場入り


🔭 9. 今後の展望(2030年)

 

時期

展望

2030

世界新車の3540%がEVに(先進国では50%超)

2040

多くの国でガソリン車販売終了

注目点

・テスラの廉価モデル登場タイミング・中国EVのグローバル攻勢・ソフト競争(AI UX、サブスク)・バッテリー革新(全固体電池など)

 


🎯 結論:EVは今どこにいるのか?

 

  • EV市場は爆発的成長から「成長の質」が問われる段階へ
  • 成熟国では伸び悩み、新興国と中国が主導役に
  • HEVEVの共存は当面続くが、EV主流化は不可避
  • カギは「価格・インフラ・政策」+「ソフトとUXの差別化」

 

--------------------- 

ホームへ戻る

---------------------